給料が下がることが不安で、なかなか転職活動に踏み切れない人も多いのではないでしょうか。とはいえ、転職で給料が下がっても、幸せになるパターンはあります。
そこで、この記事では転職で後悔しないために、さまざまなケースをご紹介します。
具体的には、
- 転職して給料が下がるケースについて
- 給料が下がって後悔するパターンと幸せになるパターンについて
- 転職で給料が下がるときの許容範囲について
の順に解説していきます。
「給料は下がったけどよかった」と思える転職をするためには、どうすれば良いのかが分かります。
「転職したいけど、年収が下がるのが怖い……」と迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
転職して給料が下がるケース
厚生労働省が行った令和3年雇用動向調査では、転職後の給料についての調査があります。
調査の結果は以下のとおり
- 給料が上がった割合は34.6%
- 下がった割合は35.2%
- 変わらないという割合は29.0%
わずかな差ですが、給料が上がるケースよりも給料が下がるケースのほうが多いという結果でした。
では、転職して給料が下がるケースとは、具体的にどのようなことが考えられるのでしょうか。
- 未経験業界へのキャリアチェンジ
- 大手から中小企業への転職
- 都心から地方への転職
- 労働時間が短くなる転職
- 賃金形態や福利厚生の影響
転職して給料が下がる可能性のあるケースを5つご紹介します。
未経験業界へのキャリアチェンジ
- キャリアチェンジ……これまで経験したことのない業界や職種へ転職すること。異業種転職とも呼ばれる。
- キャリアアップ……高いポジションを獲得したり、同じ職場で昇進・昇格したりするために、経験のある業界職種内で転職をすること。
言葉は似ていますが、意味が少し異なります。キャリアチェンジは、未経験の業界職種へ転職するため、ゼロからのスタートとなります。
未経験者は新しい業界や職種に慣れるまで時間がかかります。当然、即戦力としてみられないため、給料が下がるケースが多いです。
大手から中小企業への転職
規模が大きい大企業や知名度の高い大手企業は、中小企業に比べて給料が高いイメージがありますよね。
実際に、厚生労働省が行った令和3年賃金構造基本統計調査でもその傾向がわかります。
企業規模別の1ヶ月の賃金は以下のとおりです。
- 大企業……339,700円
- 中企業……299,800円
- 小企業……279,900円
大企業は中小企業より、売上規模が大きかったり、会社の資金力があったりします。そのため給料に違いが生じるのです。
調査結果からもわかるように、大手から中小企業への転職は、給料が下がるケースがほとんどです。
ちなみに、筆者自身も連結7,000億規模の売上の会社から、15億規模の異業種の中小企業へと転職しましたが、やはり年収は500万→430万円へとダウンしました。幸福度は工場時代よりも上がったので、結果的には良かったのですが。
このときの経験が「転職で年収下がってでも工場から脱出した方が良い!」と言い切れる理由です。
都心から地方への転職
都心から地方への転職は、給料が下がる可能性があります。
なぜなら、給料は地域格差があるからです。
厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると、都道府県別にみた賃金は高い順に次のとおりです。
- 東京……364,200円
- 神奈川……336,200円
- 大阪……326,900円
- 愛知……317,300円
- 京都……312,200円
上記のように大都市が上位を占めています。
反対に賃金が低い順は
- 宮崎……244,600円
- 青森……245,000円
- 秋田……247,500円
で、大都市と比べて大きな差があることが分かります。
このように、都心から地方への転職は、給料が下がるケースが多いです。
労働時間が短くなる
転職後の基本給が今とあまり変わらない場合でも、給料が下がってしまうケースがあります。
それは、残業が減ったことで労働時間が短くなり、時間外労働手当が減ってしまうことがあるからです。
最近では、働き方改革によって残業を減らそうという企業が増えています。
残業の多い仕事に就いていた場合は、転職によって給料が下がるケースがあると考えた方が良いでしょう。
賃金形態や福利厚生が変わる
賃金形態や福利厚生の違いによって、給料が下がるケースもあります。
手当や評価、ボーナスなどの制度は法律で定められていないため、企業によってさまざまです。
たとえば、月給が変わらなくても、ボーナスの有無によって年収は大きく変わります。また、インセンティブ制度がある場合には、成果の有無で給料が変わります。
そのため、転職をする前に、賃金形態や福利厚生について詳しく調べておくことが大切です。
転職で給料が下がって後悔するパターン
転職で給料が下がる要因はさまざまです。しかし、前職よりも給料が低いからといって、自分の市場価値が下がったわけではありません。
現在の給料は築き上げてきた信用や実績によるものです。
転職先でもゼロから積み上げることで、給料アップの可能性があります。転職の際には、しっかり将来性を見据えて考えることが大切です。
しかし、覚悟を持って転職に臨んでも後悔してしまう場合も……。
そこで、転職で給料が下がって後悔するパターンについて詳しくご紹介します。
同じ業界職種で転職したのに給料が下がる
今までの経験やスキルを活かせる同じ業界職種を選んでも、給料が下がるケースがあります。なぜなら、企業によって規模や業績が違うため、給料の水準が異なるからです。
たとえば
- 従業員数
- 年間売上高
- 業界の評価
- 新規事業の有無
上記のような項目を調べることで、事業規模や将来性を想像出来ます。
給料は仕事のモチベーションに直結します。転職して後悔しないためにも、きちんと調査をしてから転職先を選びましょう。
とはいえ「企業調査なんてめんどくさいし、そもそもそんなこと出来ないよ」という人も居ますよね。
そんな人には、転職エージェントがおすすめです。転職エージェントの基本情報については【基本】転職エージェントって何?なんで無料で使えるの?そんな疑問を解消!で紹介しているので、そちらをご覧ください。
異業種へ挑戦したけど自分に合っている仕事じゃなかったとき
転職を機に、憧れの業界や、やってみたかった職種など、異業種へ挑戦してみようという人は多いです。しかし、意欲を持って入社したものの、自分に合った仕事ではなかった場合後悔するでしょう。
入社後に後悔しないためには、仕事内容や必要なスキルなどについて事前にしっかり把握することが大切です。
その業界に入ってどんな自分になりたいのか、将来性を見据えて考えることが後悔を防ぐポイントとなります。
転職で給料が下がっても幸せになるパターン
転職で給料が下がってしまうことは、少なくありません。もちろん、年収が下がってうれしい人は居ないでしょう。しかし、転職で給料が下がっても幸せになる人もいます。
なぜなら「給料が下がる」=「転職失敗」ではないからです。
では、給料以外のどんなところに幸せを感じるのでしょうか。
転職で給料が下がっても幸せになるパターンは以下のとおりです。
- ワークライフバランスが整えられた
- やりたい仕事に就けた
- 転職前より仕事が楽しくなった
- 給料の上限が転職前より高く、伸びしろがある
1つずつ紹介していきます。
ワークライフバランスが整えられた
ワークライフバランスとは、仕事と生活を調和させることです。
転職をしてワークライフバランスが整えられて、給料が下がっても幸せになるパターンはたくさんあります。
たとえば、家族と過ごす時間が増えて心に余裕が持てるようになったり、次のステップに進むための勉強時間ができて前向きになったりというパターンです。
ワークライフバランスを考えて転職することで、給料が下がっても幸せを掴めます。
やりたい仕事に就けた
やりたい仕事に就くことでモチベーションが上がり、やりがいを強く感じられます。
自分の興味や関心のあることを仕事にしているため、スキルアップにつながりやすいです。また、自分のやりたいことでお金を稼げたという誇りや自尊心も得られます。
仕事に満足できるので、やりたい仕事に就くことは、給料が下がっても幸せになるパターンの一つです。
転職前より仕事が楽しくなった
過度なストレスは、仕事を楽しめなくする要因となります。
人間関係はストレスを感じやすく、仕事を妨げる要因の1つです。
転職して人間関係をリセットすることは、ストレスから解放されることにも繋がります。
1日8時間、週40時間、年2,080時間もの労働時間。これだけの時を共に過ごす人との関係はとても大切です。
新しい環境で良い人間関係を築ければ、転職前より仕事が楽しくなったと感じられるでしょう。
仕事が楽しければ、給料なんて関係なく幸せを感じられます。
給料の上限が転職前より高くて、ゆくゆくは伸びしろがある
転職によって給料が下がっても、それは一時的なことです。経験や実績を積み重ねることで、給料は上がる可能性があります。
ただし、給料の上限は企業によって違います。給料の上限が転職前より高く、ゆくゆくは伸びしろがある企業を見極めることが大切です。
将来性のある企業への転職は、給料が下がっても幸せになるパターンといえます。
転職で給料下がるときの許容範囲は?
給料が下がる転職が失敗とは限りません。多少給料が下がっても、家族との時間が増えたり、やりたい仕事ができたりすることで幸せになるパターンもあります。
しかし、給料の大幅なダウンは、生活スタイルに影響を及ぼします。
では、転職で給料が下がる場合、許容範囲はどのくらいでしょうか。
一般的には「10%ダウンまでが許容範囲」と言われています。
たとえば、月収300,000円の人が10%下がると、270,000円になります。
この差はあまり感じませんが、20%下がると月収は240,000円です。60,000円の差になると、生活に大きな影響がでてきます。
どんなに素晴らしい仕事でも、給料が低すぎては生活ができません。
転職で給料が下がっても幸せになるためには、生活を維持できる範囲内で検討することが大切です。
まとめ:「給料アップ=幸福度アップ」とは限らない!
給料が下がっても転職してよかったと思える方法について紹介しました。
この記事の内容は以下のとおりです。
- 自分の能力に関係なく、給料が下がるケースがある
- 企業の規模や業績を調べ、そこで働く自分の将来をきちんと見据える
- 給料以外の自分にとって大切なものを優先する
- 給料が下がっても生活が維持できるよう許容範囲を設定する
筆者も転職の経験者です。子供が生まれたことをきっかけに、思い切ってキャリアチェンジをしました。
転職で大切にしたのは、手に職が付くこと。その結果、一時的に給料は下がりましたが、今では転職前の給料以上もらっています。
また、もしも急に会社がなくなっても、需要のある知識・技術を手に入れているので、安定度は増していると思います。
工場勤務で15年以上続けていたとして、もしも急に会社がなくなってしまったら、路頭に迷っていたと思います。
そのぐらい、これからの時代をノースキルで生きて行くのは怖いことです。
工場勤務の将来性については【実録】工場勤務の末路は地獄?将来が不安なあなたがすべきことを紹介!でも取り上げています。
こちらの記事も合わせてご覧ください。
給料が下がることに必要以上に怯えることはありません。
1度「あなたが転職で叶えたいこと」をリストアップしてみてください。そこで、最優先事項に「給料」が来ないのであれば、工場からの転職を本気で考えることをオススメします。
このブログ「コウテン」では、高卒から10年間死んだ魚のような目をしながら働き続けた人間が、未経験の業界に転職した経験をもとに、工場からの異業種への転職について発信してます。
私は10年間を無駄にしました。
あのときがなければ今はない。そんな綺麗事を言うつもりはありません。若くて自由なうちにもっとやってみたい仕事をやればよかったなと心底思っています。
ですが、あのときの私と一緒で、工場から転職するのが怖い人はいると思います。
そんな人の人生が好転するように。そう思って本ブログ「コウテン」を運営しております。
他にも、工場からの転職に関する記事をまとめておりますので、合わせてご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!